このコンテンツは架空キャラクターであるモルタル造形の初心者のアズマさんとなつみさんの疑問をYDF株式会社のヤマモトと愉快な仲間が解決していく為に、モルタル造形のことをわかりやすい言葉を使って解説するブログです
こんにちはYDF株式会社の山本です。
あなたはモルタル造形をどこまで知っていますか?
今回はモルタル造形の簡単な説明とモルタル造形の注意すべき点なども伝えながら工程を解説します。
モルタル造形を始めたいけど、何から何までわからないことばかりで困ってます
アズマさん、初めまして。
そうですよね。とても難しく思えてしまいますよね。
はい・・・ネットで調べれば調べるほど、始めづらいです。
わかりましたこれからモルタル造形についてわかりやすく説明しますね。
モルタル造形ってなに?
モルタル造形はその名の通りモルタルで造形物を作ることで、
日本ではデザインコンクリートやモルタルアートなどとも呼ばれています。
最近はDIYが趣味の方の中で流行っている、
小さな建物などの形をモルタルで作る「モルタルデコ」と呼ばれているものも、モルタル造形の仲間です。
やり方を簡潔に説明すると
モルタルを塗ってから乾いて固まるまでに、専用の道具で石や木などの形に削ったり撫でたりして作りたいものを造形して
後日に塗料で石や木の色に塗って仕上げています。
日本にモルタル造形がやってきたのは、ディズニーランドの建設時に外国の職人さんたちが伝えたと言われていますが、
実はもっと昔からこのような技術は日本にもあったようです。
というより日本こそがモルタル造形の発祥の地かもしれないと言われています。
それが「鏝絵」(こてえ)です。
日本古来からの建材である漆喰(しっくい)で龍や花などを鏝で表現しているものです。
ただこの鏝絵は漆喰を様々な形や大きさのコテを使って漆喰を少しづつ盛りながら表現するので
かなり高度な技術が必要です。
それに比べてモルタル造形は、ある程度モルタルを盛ってから削ることで、
好きな形に仕上げることができるので、モルタルを触ったことがない方でも始めやすい技術です。
そしてこのモルタル造形は今まさに全国で徐々に流行ってきている最新の建築装飾技術でもあります。
モルタル造形を始めるなら今!
今はまだ屋外の壁の素材を決める際は「塗装」か「サイディング」か「タイル」が一般的な選択肢ですが、
地域によっては「モルタル造形」も工務店や設計事務所から提案されることが多くなってきています。
ですがまだまだ知名度が低い技術でもあるので、
建築業界で一旗揚げたい職人さんたちの新たな武器として講習などを通じて始められる方が多くなってきました。
でも、「私の地域ではモルタル造形を施したお店や家を見かけない」という方は多いのではないのでしょうか?
それはあなたにとってチャンスです!
なぜなら、あなたがその地域のモルタル造形の先駆者になれるのですから!
私は日本国内はもちろんですが、海外からもモルタル造形を受注することがあり、
たくさんの地域で施工していますが、周りにないデザインを探しているお客様はたくさんおられます。
ですから、このモルタル造形という技術を単なる新しい塗装やタイルのように考えるのではなく
全く新しい施工方法でこれから伸びる業界であることをわかってもらいたいです。
DIYで自分の庭に石積みの塀などを作られる方も、
本気でやればとても楽しく稼げる仕事になるのも夢ではありません
これからこのブログを通して、モルタル造形のことについて細かく説明して行きますが、
本気で仕事にされたい方は、私の講習を受けてください。
モルタルを塗って削って塗装してと、汚れたり筋肉痛になってしまう「ガテン系」の仕事ですが、
とてもやりがいもあり、何より楽しい建築系の仕事はモルタル造形しかないと思います。
ありがとうございます。モルタル造形のことがもっと知りたくなりました。
今一番知りたいのは工程です。
工程ですね。わかりました。
私も知りたいです。初めまして田中です。
今は大工をしてまして、モルタル造形の話を友人から聞いてこのサイトにきました。
私でもできるかどうか不安ですが工程を教えてもらえますか?
工程は僕から話しますね。
材料担当じゃないの?大丈夫?
僕だって説明ぐらいできますよ!何年やってると思ってるのですか?
ではわかりやすく説明しますよ。
モルタル造形の工程
造形の下地作り
モルタル造形に適した下地は、既存の壁の素材によって変わります。
この下地の基本は下地用のモルタルを塗ってくし柄の下地を作るのですが、
下地用と記載していれば何でもいいのではなく、モルタル造形の構造に適した材料を使うことが重要です。
では適した材料とはどのような材料でしょうか?
それはモルタル造形の重量に耐えうることができる下地材を使ってください。
お勧めできない材料の特徴は
ただ軽量なだけで仕上げは塗装や軽いタイルにしか対応していないものは、
モルタル造形のような重量がある施工には適していません。
お勧めできる材料は、重量があるタイルの下地にも使用できる材料が適しています。
モルタル造形.comではモルタル造形に適した材料の、
二瀬窯業の「Aモルダッシュ」とSTOの「ベースコート」を販売しています。
まずはっきりと言えることは
モルタル造形には必ず下地作りが必要です
例外はありません。
今このコンテンツを読まれている方の中で背筋が凍る思いをしている方もおられるのではないでしょうか?
当然ブロック塀なども、下地作りは必要です。
モルタルに適した壁面で直接モルタルを塗ることができる素材ではありますが、
モルタル造形をする際は下地用のモルタルを塗ってメッシュを伏せこんでさらにくし引き柄まで必要です。
理由は、モルタル造形は重量があるのと、デザインによっては一部が極端に薄くなることがあるからです。
では下地作りをしない場合はどのようなことになるのでしょうか?
単純にひび割れが起きやすくなったり、剥離が起きることが予想されます。
それと、たまにDIYの方がSNSなどに出しているのをよく見かけるのが、
ラスカットボードに吸水調整剤を塗ってから直接モルタル造形を施しておられる方がおられますが、
皆さんの自宅などのDIYなら自己判断で大丈夫だと思いますが、
プロとして造形をする場合は必ず下地作りをしましょう。
なぜなら、メーカーの標準施工法で書いてあるからです。
3~4mm厚コテ圧をかけ塗り付け直後に 「アリスネット16cm幅」をラスカットの
ジョイント及び開口部四隅に張りつけ、 コテでなじませて、直ちに全体に6~7 mm厚を重ね塗りし10mm厚以上としてく ださい。水引き具合を見ながらムラ直 しをおこない仕上げてください。
いかがでしょうか?
では、モルタル造形を10mm以上にすればいいのでは?
それは大きな間違いです。
これはモルタルが平らであることを想定して書かれています。
モルタル造形は20mm盛ったとしても削ってしまい場所によっては厚さが数ミリになることがありますよね?
それと、「アリスネット」を張りつけて・・・と書いてありますよね?
これは平らにコテ塗りすることを想定しているため、塗ってから削り出すモルタル造形では現実的に無理です。
今回は工程を伝えるためのブログだから、これぐらいにしておきましょうか?
もっと下地の材料について語りたかったのですが・・・・
わかりました。では次の工程についてお話しします。
このまま書き続けると永遠に語ってしまいますので、下地処理はまたの機会に気がすむまで書かせて頂きます。
冒頭に書きました「くし柄」にするためのツールは造形ツール売り場で販売しています。
モルタル塗り
下地モルタルが仕上がってから十分に乾かします。
この乾燥のための養生期間は、気温や湿度にもよりますが、夏で3日間です。
ただ3日間が最適かというとそうではありません。
しっかりとした工程で行う場合は7日ほどは乾燥の期間をとっていただきたいです。
十分に乾燥しましたら、いよいよモルタル造形本番です。
まずは吸水調整材を塗ります。
吸水調整材は色々なメーカーから出ていると思いますが
オススメは日本化成のハイフレックスと二瀬窯業のユニレックスです。
これらの吸水調整は水で希釈するのですが、
今回のような場合は吸水調整の主材が1に対して水が2の3倍希釈で使用するのがオススメです。
そこで、よくある質問が、
「吸水調整を塗ってからそれが完全に乾いてからモルタルを塗るのか?」です
基本は乾いてからです。
ただ下地に塗ってもすぐに吸い込んでしまう場合はもう一度塗ります。
こればかりは弊社でも色々なメーカーさんに聞いているのですが
なぜかはっきりとは言ってくれないです。
それは、下地の状態や気温などで、考え方が沢山あるからなのでしょう。
それではモルタルを練っていきましょう。
モルタルを練るのに必要なのは下記の4つです
- TF造形モルタル
- モルタル練り樽
- ハンドミキサー
- 水道水
1つ目は当店が販売しているTF造形モルタルです。
2つ目が練る用のバケツ
どんなバケツがいいの?
一番いいのはモルタルを練るために売っている練り樽です。
ただしプラスチックではなく金属製がいいです。
理由は、次に説明するハンドミキサーが樽の内側を擦りすぎて、いつか突然割れてしまうからです。
そこでもっとお勧めするのは、他の塗料などが入っていた金属製のバケツです。
一番ポピュラーなのはジョリパットという塗料が入っていた空き缶です。
よく塗装屋さんが工事しているときに水を貯めるために使っているアレです。
この空き缶は、少し小さいので、TF造形モルタルが丸々1袋ではなく、だいたい8割ほど入ります。
また後ほど説明しますが、
この造形モルタルは一般的なモルタル造形の厚みの約2cm厚を塗るのに
1袋でだいたい1㎡ほどを塗ることができます。
ですので、この8割入った缶が一つで約1㎡ほど塗れば、
例えば30㎡の壁面にモルタル造形を施す場合に30袋用意して、
上記の通りに1缶で約1㎡を塗っていけば、残りの2割の材料が足らない時の保険になるため
後から材料が足りないことにはならないのでお勧めです。
3つ目はハンドミキサーです。
ハンドミキサーといっても色々ありますが、
まずハンドミキサーには大きく低速・中速・高速に分かれます。
その中でモルタルを練るために必要なものが低速になります。
低速の中でも高トルクのもので、両手持ちができるタイプがおススメです。
私が使用しているのはマキタの低速高トルクのタイプです。
当店では取り扱ってはいないので、
私が使用しているものと同じものを下記にリンクを貼っておきます。
両手持ちで羽根がダブルなので簡単にしっかり練ることができます。
DIYなどで沢山練ることがないようでしたら羽根がシングルでもいいとは思います。
下記の質問があったので追記しますが
「造形モルタルは手練りでも大丈夫ですか?」にお答えします。
TF造形モルタルは必ずハンドミキサーでしっかり混ぜてください。
くわなどを使って手で練るのは絶対にやめてください。
4つ目は水道水です。
この水道水についてですが、モルタルを練る場所には、
モルタルに入れる用の水とハンドミキサーを洗う用の水の二つを用意することをお勧めします。
理由は、ハンドミキサーを洗った水をモルタルを練るために使うと、
モルタル本体に入っている成分が中途半端に混ざってしまい、
練っているモルタルの本来の性能を活かせない場合があるかもしれないからです。
ですから、水用のバケツは二つ用意するほうがいいです。
ではモルタルを練っていきましょう。
しっかりとモルタルを抑えて、バケツの隅々まで混ぜていきます。
では水はどれくらい入れるの?
どれくらいの時間混ぜたらいいの?
これもまた難しい質問です。
数字で言うと、
5Lぐらいで3分ぐらいです。
しかし、水は湿度や気温はもちろんですが、どのようなものを造形するかでも変わってきます。
さらには使用するハンドミキサーのパワーや羽の数でも変わります。
力に自信がある方がグイグイハンドミキサーを動かして混ぜているのと、
女性が、ハンドミキサーの反動に耐えながら、少しずつ混ぜているのでも変わります。
ですから、もしこの混ぜ具合を知りたい方は、当店のモルタル造形講習に参加してください。
講習に参加するとハンドミキサーを実際に使って、ちょうどいい混ぜ具合などを体験して学ぶことができます。
モルタルを混ぜる時に必ずしなくてはいけないのは、練りおきです。
練りおきとは、モルタルを混ぜた後にすぐ使うのではなく、しばらくの間寝かせる行為のことです。
寝かせるといっても、料理のように長い時間ではなく3分から5分ほどで大丈夫です。
ベテランの左官職人さんに聞くと「タバコ一本分置いたらいい」と言われました。
何も知らないお客様から見ると、せっかくモルタルを混ぜ始めたと思ったら、
いきなり休憩してるように見えるかもしれませんが、
必要なことなのです。
この練りおきはなんのためにするのかと言うと、
モルタルを練ると、モルタルと水だけでなく余計な空気も練りこまれます。
そのモルタルを少しだけ置くと、空気が抜けて最初に練った時よりも少し硬化しているような感じに硬くなります。
左官職人さんの中では、一回めの硬化と言うことで第一硬化なんて言われる方もおられます。
ただこの練りおきは、硬化しているのではなく、ただ空気が抜けてモルタルと水分だけが残っただけです。
3分ほど置いたら、またハンドミキサーで練ればまた元どおりに戻ります。
もしもう一度練っても元どおりの柔らかさにならない場合は、少し水を足すことをお勧めします。
ただし練りおきをやりすぎると、本当に硬化が始まってしまいますので、
練りおき後にもう一度混ぜたら直ちに使ってください。
モルタルの塗り方
それではモルタルを塗っていきます。
かっこいいモルタル造形に必要な厚みは15mm以上です。
この厚さまで一度に塗るとモルタルが剥がれて落ちてしまいます。
ではどのように塗れば剥がれずに15mm以上塗ることができるのでしょうか?
それにはまず「擦り塗り」が必要です。
擦り塗りはコテで薄く塗ることを言うのですが、
ただ薄くではなく、下地のくし柄の奥までしっかりと入るように押えながら、
ガリガリと擦る音がするぐらいで塗ります。
これはまず下地のくし柄にしっかりと密着させるために必要なやり方ですが、
これをやらないとせっかく塗ったモルタルが剥がれてしまします。
ただすぐ剥がれるなら直せばいいのですが、
剥がれ落ちずに裏側で浮いている状態で乾いてしまうこともありますので、
モルタル造形が完成した後に、細かいひび割れや、
最悪の場合はモルタルの塊が落ちてしまうなんてこともあります。
20kgのモルタルの塊が頭の上に落ちてくることを想像してください。
確実に新聞に名前が載りますね。
ですから必ず擦り塗りは行ってください。
擦り塗りができましたら、モルタルを盛っていきます。
この時に擦り塗りの面積が大きすぎると、
2回目に塗る時に擦り塗りの部分が乾いてしまい二回目の密着が悪くなるので、
手早く2回目を塗ることができる面積ごとに擦り塗りをしてください。
それでは擦り塗りの上からまず5mmぐらいで均一に塗ります。
その上から任意の厚さまで5mmごとに盛っていきます。
20mmなら4セットですね。
慣れてくると一度に10mmごとに塗ることもできます。
間違っても一度に20mmの厚さで盛らないでください。
ひび割れや剥がれの原因になります
カービング
いよいよカービング(彫刻)開始です。
使用するツールは色々ありますが、
基本的にはポイントツールとブラックブラシと刷毛があれば、なんとなくは作ることが可能です。
山本はあまり沢山のツールは使いません。
その理由は足場の上で落とす可能性があるからです(笑)
ツールのほとんどが先端が尖った刺さると危険なものばかりなので、
沢山持ち歩くといつか落とすのではないかと思い最小限にしています。
ですが、あなたの技術レベルに合ったものを持つことが一番いいとは思います。
最初からあれやこれやと色々なツールを持ったところで、できるクオリティーは変わりません。
少しずつレベルに合わせて揃えていってみてください。
次に沢山質問される内容の中で「削り出すタイミングはいつですか?」があります。
カービングのタイミングは作るもので変わってきます。
例えば擬木は早めから触り始めます。
石は材質によってさらにタイミングが変わりますが、
かなり風化した石だと早めから、
まだ劣化していない固そうな石は少し硬化が始まってから削り始めます。
正解はありませんが、
実はこれさえやればどなたでも石や木に見えるルールがあります。
そのルールは実際に見ていただかないと理解できない内容なので、
講習会にてレクチャーいたします。
よく問い合わせがある定番の「カービングのことはなんですか?」の答えですが、
それは、手数を少なくするように心がけることです。
カービングをしていると、刷毛やブラシで何度も撫でたりして角が丸まったものしかできなかったり、
石の形を整えるのに外枠を削りすぎて、目地が広がってしまい、
石が積まれたように見えなかったりするのも、手数が多いことが原因です。
例えると、玉ねぎの皮を剥き続けているのと同じです。
美味しいところまで捨てないでくださいね。
手数を少なくすることを常に意識すると、自然に上達します。
モルタル造形が終わると、乾燥のための養生期間をあけます。
これも気温や湿度で変わりますが、夏場でかなり乾燥している環境でも最低1日間は乾燥させるようにしてください。
寒い時期や湿気がこもりやすい室内は、最低2日は乾燥させてください。
しかし理想の乾燥期間は5日間以上です。
これは山本の持論ではなく、建築業界の常識です。
モルタルに湿気が残っていると、次の塗装工程が完璧なものにならない恐れがあるからです。
ですが、建築業界は全体の工期などが厳しく、仕方なく乾燥期間をあけられないといった悩みもよく耳にします。
それであれば、工事の前半の工程でモルタルの造形までを進めておいて、
後半の仕上げの時期に塗装工事を入れていただけるように、
工事の元請け業者さんやお客様に一度はお願いされた方がいいです。
どうしても元請け業者さんが納得できないようであれば、このページを見せてあげてください。
元請け業者さんも悪魔ではありません。
お客様のことを第一に考えてより良い施工方法に賛成していただけるはずです。
ベース塗装
次の工程がベース塗装です。
ベース塗装は造形下地作りと同じぐらい大事な工程です。
それは、この工程がモルタル造形の耐久性に大きく関わっているからです。
この工程をおろそかにすると下記のような事態を招きます
- ひび割れ
- ひび割れが原因の雨漏り
- 雨漏りが原因でモルタルの下地から剥離
このベース塗装の重要性については塗装業界の職人さんは知っていて当たり前の知識ですが、
モルタル造形の業界は塗装の経験がない方や他業種の方が、講習などでやり方を知って仕事にされている方も多いので、
ベース塗装の重要性について理解ではなく知らない方が多いのが実状です。
ですからここから先は、真剣にモルタル造形をやりたい方は必ず読んでください。
まずベース塗装をする目的は、「モルタル面の保護」です。
インターネットで塗装屋さんのホームページをいくつか見てください。
「当店はしっかり3回塗ります。」
「塗装の品質は何をではなく誰が塗るかです。」
「当店はメーカーから指定されている量の塗料を偽りなく使います。」
のようなキャッチフレーズを多数見かけると思います。
それは本当にその通りで、塗装業で成功するためには、
塗装が完了した数年後に色あせや雨漏りなどのクレームや悪い口コミをされないようにすることです。
そのためには適した塗料を適した方法で塗装することが重要です。
では適した方法をモルタル造形の塗装に当てはめて説明します。
最初にモルタル面に塗るシーラーという塗料ですが、
様々な種類のシーラーが各塗料メーカーさんから発売されています。
その中でも一番塗装屋さんが信頼しているのがカチオン系のシーラーです。
「水性カチオンシーラー」や「水性の浸透シーラー」などと書かれているものが、カチオン系のシーラーです。
このカチオンという名前の意味はすごく難しいので省略しますが、
性能は下地の表面ではなく、浸透して固まる塗料です。
例えるとお風呂などのカビを掃除できる洗剤のテレビCMなどで、
カビが壁の中に根を張っているようなイラストが出たりしていますよね?
カチオンシーラーはそのカビのように下地の中に根を張って固まるのです。
ですから塗料の剥離がしにくくなるということなんです。
以上を踏まえると、モルタル造形の塗装にふさわしいシーラーはカチオン系のシーラーです。
吸い込まないで膜を張るだけの内装用のシーラーは絶対に使用しないでください。
そしてここからがベース塗装の最重要工程です。
はじめに結論から書きます。
シーラーを塗って乾いたら
必ず外壁用の仕上げ塗料で全て塗りつぶしてください。
内装なら1回塗り、外装なら2回塗りです。
その理由は、何回も書いています。
モルタル造形の耐久性に大きく関わるからです。
ただでさえモルタル造形はひび割れのような形などを造形するのに、
薄い塗膜では簡単に雨漏りや劣化の原因になるのはどなたでも予想がつきますよね?
最近造形を始めたばかりの方や塗装の知識のない方が膜をはるシーラーを塗って薄くエイジング塗装をしてクリヤーコーティングするだけの危ない仕上げをする方がちらほらおられるのを見かけます。
本当に危ないです
もしモルタル造形を発注しようとされているお客様でこのコンテンツを読んでいただいている方は、
お願いされるモルタル造形の業者さんに、ベース塗装はカチオンシーラーを塗ってから、外壁用の塗料でしっかりと塗装されてからエイジング塗装をされるのかを確認してください。
もしモルタル造形の職人さんでベース塗装の必要性がいまいちわからずに、膜を張るシーラー塗ってから薄くエイジング塗装をしている方がいらっしゃいましたら、これからはしっかりとベース塗装をしてください。
ベース塗装の塗料のオススメは外壁に適したつや消しの塗料です。
私はインターナショナルペイントのマルチコートを使うことが多いです。
ベース塗装の色などの詳細は、講習で私に直接聞いてください。
細かく説明いたします。
エイジング塗装
いよいよエイジング塗装です。
この工程でモルタル造形の外見のクオリティーの良し悪しが別れます。
この方法に関しては自由です。
正解はありません。
なぜなら、石や木などに見えるように絵を描く工程だからです。
繊細に表現する方や、可愛くメルヘンなイメージに表現される方など様々です。
ただ使用する塗料は、エイジング塗装に適した塗料を使用することをお勧めします。
商品名を言うと、エイジングアートカラーやテクアートカラーです。
これらの塗料は、テーマパークのエイジング塗装のために開発された塗料で、
普通の水性塗料に比べて色の顔料が多く含まれているため、
色あせなどが起きにくくできているからです。
DIY用で販売されているエイジング塗装ができる塗料は、その顔料が少ないため屋外などの紫外線による色あせが起こる可能性があります。
それをわかっていながら、ホームセンターでも売っている、普通の水性塗料でエイジング塗装をしている業者さんも少なくはありませんので、モルタル造形の業者さん選びの中で、使用塗料はしっかりと聞いておくことが必要です。
あとで色あせが起きても保証してもらえないかもしれません。
その他の塗料でモルタル造形のエイジング塗装に適していると思われる塗料メーカーの名前をあげておきます。
- ベンジャミンムーア
- マンブラザーズ
これらが日本でも手に入るエイジング塗装に適していると思われる塗料を扱っている塗料メーカーさんです。
しかし、どちらも高価なのと手に入りにくいものですので、一般的には先ほど紹介しました、エイジングアートカラーとテクアートカラーがお勧めです。
プロの方はエイジングアートカラーを使われる方が多いです。
DIYの方は少し安価なテクアートカラーでも問題ありません。
クリヤーコーティング
次はクリヤーコーティングです。
ここで言いたいことが一つあります。
それはクリヤーコーティングは色を保護するためで、雨を通さない防水効果はないです。
雨を通さないようにするにはベース塗装をしっかり行ってください。
お勧めのクリヤーコーティングは、
テクアートカラーのメーカーさんであるシンロイヒ社のMB-AGクリヤーです。
または、エイジングアートカラーのメーカーさんであるターナー色彩さんの水性UVカットクリヤーです。
これらのクリヤー塗料は、紫外線から薄く着色するエイジング塗装の色を守る効果があります。
皆さんご存知の通り、屋外はもちろんのこと、屋内でも紫外線の影響をうけますので、
原則塗ることをお勧めします。
ただし、例外としてこのクリヤーを省く方が良い場合があります。
それはフォトスタジオなどの背景などにモルタル造形を施した時です。
理由は、撮影時のフラッシュでわずかながら反射してしまう恐れがあるからです
でもこれは、耐久性を取るか、撮影時のわずかでも反射をしないようにするかを、お客様に確認されることをお勧めします。
そのためには、モルタル造形のプレゼンの際に、
クリヤーを塗ってあるものと、塗っていないもののサンプルを用意して、
実際にフォトスタジオの設備の中でどれぐらい撮影に影響するかを体験していただいた方が良いかと思います。
プロのカメラマンの中では、わずかな反射も許せないと言われる方もいらっしゃいますので、
クリヤーを全て塗ってから、「反射するからクリヤーをやめて欲しい」なんて言われたら大変ですから、
フォトスタジオや撮影を目的とする環境下でのモルタル造形の依頼の際は、一度お客様に確認してください。
最後に書きますが、クリヤーは基本はつや消しを使用します。
デザインによっては艶ありを使用することもありますが
大半はつや消しを使用します。
これでモルタル造形は完成です。
以上がモルタル造形の工程になります。
長い文章を読んでいただきありがとうございました。
このコンテンツの内容で疑問に思われることや補足した方が良いことがございましたら、
お気軽にお問い合わせください。
モルタル造形の正しい方法を説明する講習はモルタル造形.comへ
すごく丁寧に解説をありがとうございます。すごくわかりやすい解説でした。ついさっきまで全くの素人だったのに、これだけでモルタル造形の達人になれたように思えます。
いやぁ・・・だいぶヤマモトさんに助けられましたが(笑)
モルタル塗りの所から、全て私です・・・
・・・・・ごめんなさい(泣)
私もモルタル造形をやってみたくなりました。もちろん必ず適した施工方法で行います。
ありがとうございます!まずは講習会に参加してみてください!
ここでは説明できないようなことも細かく説明しますよ!
その時は僕が講習を・・・・
このコンテンツを書くときに、最初に描いてくれたキャラクターが僕なのに、
僕を使わへんのかい(泣)
あっ・・・忘れてた・・・(笑)
また道具の説明とかで、手伝ってもらいますね。